クライアントインタビュー税理士 渡辺宏征氏

回は、税理士の渡辺宏幸さんにお話を伺いました。渡辺さんは、現在、税理士事務所を順調に経営していますが、今回は、立ち上がりの苦闘時代について語ってくださいました。 (聞き手:セールス・ジャーナリスト 村中明彦)

もがいて先が見えない時期に、コーチングを受けることを決めた理由

– 渡辺さんと水野さんは元同僚だったとのことですね。

はい、水野さんとは会計事務所での同僚でした。私も水野さんもほぼ同じ時期に入所したので、いわゆる同期ということになります。ですから、水野さんのサラリーマン時代、独立起業時代、どん底時代、上り調子時代とすべてを知っている事になります。 

 

– 水野さんのコーチングを受けるようになったのはいつ頃からですか?

たしか2003年の4月頃だったと思います。その頃、水野さんは、有料セミナーを開くなど、ひと頃の大底を抜けて、きっかけをつかんだのかなという印象がありました。その後、水野さんから、これからはプロ・コーチとして活動していく。まずは実績作りのためにクライアントになってくれというオファーがありました。実は、その頃の私は、水野さんとは逆に、もがいていて先が見えない状況でした。2003年1月に、税理士として独立したのですが、ろくに準備もしていなかった事がたたって、当然ながら上手く行かず、モチベーションが非常に低下していた。平たく言って、めげていた時期でした。

 

– そのコーチングは有料だったのですか?

当初はお友達価格ということで、無料おためしがありましたが、しばらくしてから、月数万円の料金が発生しました。

 

– すみません、率直に言って、元同僚、友人を有料でコーチに雇ったことに驚いています。もし内容がつまらないものであった場合、友人であるだけにツライというか、気まずくなるというか……

おっしゃるニュアンスも良く分かります。しかし、水野さんとの間では、内容がつまらないものであった場合は、途中であっても注文はやめるという事はビジネスライクに合意していました。また、コーチングを始めるにあたって、明確な目標設定もなされた点は、何と言いましょうか、『購入前の事前の説明があった』という点で安心できました。 

水野コーチングで印象だったこと

– どのような目標設定がなされたのですか?

「渡辺さんが稼げるようになること。これをこのコーチングの目標にしよう」という提案がありました。「その目標が達成できるような気配が出てこないようだったら、自分が元同僚だからといって気にしなくても良い、いつでもとりやめてくれ」とのことでした。 

 

– なるほど、そういう具体的な目標が設定されたのであれば、不安も減りますね。しかし、すみません、それでも私の感覚から言うと、今なお驚く点があります。

どういう点ですか?

 

– 水野さんのコーチングを受けた時期は、渡辺さんも不遇の時代だったとのお話でした。“不遇の時代”ということは経済的にも決してラクではなかったと思います。率直に言って、そういう時期に、コーチングという実体の見えにくいサービスに、よく数万円も払ったなと…

そう言われると、どう答えたものか困ってしまいますが、何ていったら良いんでしょうか。とにかく、あの時期は、自分に何もない時期でした。自分には何もないんだけど、でも自分には自分しかないとも言えるわけです。そういう状況で、とにかく、考え方の方向を正しく学んで、その方向に歩いていけばいいんじゃないかなと。少なくとも暗中模索というのは脱して、ちゃんと方向を決めて進んで行きたい…そういう事にはこのコーチングは役に立つなという感触があったのです。 

 

– 水野さんのコーチングで何か、印象的だった問いかけはありますか?

「税理士はサービス業であるということを考えるとUSPが必要だね。それも三種」という話は新鮮でした。 

 

– 三種のUSPと言いますと?

税理士の場合、『(税理士としての)志向・姿勢のUSP』、『(自分が顧客に提供する)知識労働のUSP』、『(顧客に出させる)結果のUSP』の三種が必要だという話でした。『渡辺の場合結果のUSPがないよね』という指摘でした。 

 

– 結果のUSPがない…そんなこと言われてムッとしませんでしたか?

ムッとするという事はなかったですね。だって税理士には三種のUSPが必要だという話だけだと、コーチングの意味がないというか、それだと、『なるほど、いい話だなあ』で終わってしまいますが、その後、『結果のUSPに欠けている』という、そういう指摘なりフィードバックがあることがコーチングの良さですから。

なぜセミナーではなく、コーチングを選んだのか?

– なるほど、分かりました。しかし、どうなんでしょうか。その時の目標は『稼げるようになる』ということだったわけです。という事は、同じ月数万円払うのでも、コーチングではなく、『売上げアップセミナー』に出るという選択肢もあったと思うのですがいかがでしょうか。

そう言われると確かにそうなのですが、個人的に思うのは、そういうノウハウ系の話は、本やテープだけでいいかなと。あと、セミナーというのは凡人の私にとっては、効果の持続力が薄いような気がして…… 

 

– 『効果の持続力』が低いと言いますと…

セミナーの直後は新知識を得て、やる気が出ているのですが、しばらく経つと、だんだんモチベーションダウンしてくるという……で、これじゃイカンとまたセミナーに出てみるのだけど、結局、また同じことの繰り返しという…図的に言うと、上下動の繰り返しで、進歩がないというか…まあ、よくあるパターンですよね。 

 

– 一方、コーチングというのはどうなのでしょうか?

人それぞれだとは思いますが、私には、セミナーよりも本よりもコーチングの方が向いているように思います。コーチングが、本やセミナーと決定的に違うのは、『問いかけがある』ということだと思います。まあ、本を読んでも問いかけは得られますけれど、それはまあ、言ってみれば、問われているだけというか、答えを返す必要がないというか……でも、コーチングの場合、人間が問いかけてくるので、やっぱり切迫感が違うし、答えを懸命に考えて、返さざるを得ない。そういうフィードバックがあるのが良いですね。 

 

– なるほど

さっきの図の例えで言うと、そうだなあ、セミナーが波線グラフだとすれば、コーチングは上向きスパイラルですよね。スパイラルだから一周して同じところに戻ってくるんですよ。でも同じところに戻ったようでいて、実は一段ステージが上がれているという。この成長の連続性のような部分が良いです。そうですね、この『上向きのスパイラル』というのがコーチングの魅力です。 

 

– 上向きのスパイラル…良いですね!

結果を出して、一周回って、一段上がって、また結果を重ねて、また一周、一段上がる。この回転上昇の過程で、私も水野さんも一段ずつステージが上がるのが分かるのですね。コーチと私は目標を共有しているので、段を上がる時は一緒に上がるのです。そういうのは感覚、実感としてありますね。

「コーチング、やめようかな…」と思った時期

– と言っても、途中、停滞することはありませんでしたか?

コーチングを始めて、一年ぐらいの時は停滞期がありました。いろいろ続けてきたけれど、目に見えた結果も出ないし、もうやめようかなと。 

 

– やめようかなというのは、コーチングをですか、それとも…

いやもう、コーチングだけじゃなくて、独立税理士やめて、もう一回サラリーマンとしてどこかの会計事務所に入りなおそうかなとも思いました。私がそういうモードに入ると、やはり水野さんにもそれが伝わって、二人で停滞してしまいました。 

 

– 結果として、渡辺さんは、サラリーマン税理士に戻ることなく、今なお独立開業を続けているわけですが、どこで思いとどまったのですか?

その時の判断は、水野さんに言われたとか何とかじゃなくて、「今、独立が上手く行かなくてつらいけど、でも独立をやめたら、その方がもっとつらいだろうな」と自分で思ったのです。 

 

– 独立をやめる方がつらい…というのは

このままサラリーマン税理士に戻っても、不完全燃焼感に苛まれて、かえってつらいよと思ったのです。だからといって、一念発起したとか歯を食いしばったという事もないです。何ていうんでしょうか。やるぞ、というのじゃなく、とにかく「やめない!」という所で踏ん張ったというか…でも、今、振り返ると、あの時、やめないという方向に心が進んだのも水野さんのコーチングのおかげだと思います。 

 

– と言いますと?

さっきの上昇スパイラルの話で行けば、途中、停滞したにせよ、スパイラルを何周か上がって、上の地点に行けていたからこそ、踏ん張れたと思います。その時の踏ん張りというのは、正直言って水野さんのアドバイスがどうとかじゃなくて、私が自分で踏ん張ったという話なんですけど、でも踏ん張れる自分にまでなれていたのは、それはやっぱりコーチングを通じて、そういう自分に成長できていたからだと思えます。

 

– なるほど。

これがセミナーだと、受けた瞬間は、グイッと高揚しても、でもしばらく経ってまたシューと下がっていただろうなと。もちろんセミナーや本だけでも、モチベーションを継続できる人はいると思いますが、でも、自分のような凡人には、やっぱり、自分とコーチでスパイラルを作って、上昇気流を作って、その上昇気流に助けられるような流れを作らないとなかなか… 

最低限、何が必要か?

– さて、こうして水野さんのコーチングを2年に渡って受けてきたわけですが、当初の目標「稼げる渡辺になる」という点についてはいかがでしょうか。

おかげさまで開業三年目にして、当初の目標額に達することができました。少なくとも暗中模索の時期は抜けられたような、そんな手ごたえがあります。 

 

– 結果を出せたこと、おめでとうございます。さて、これから水野さんのコーチングを受ける人のための参考情報として、最後にお伺いしたいのですが、水野さんの指導をフル活用するために最低限、必要な物というと何でしょうか?

何ていったらいいんでしょうか。上向きのベクトルというか、そのベクトルの大きさは、大きいのか小さいのか色々ありますが、とにかく、上を向くつもり、そういう向上心、自分の向きが下でなく上であること。それがないと、スパイラルの最初の最初がどうにも始まらない。上昇気流の最初の小さな渦巻きを起こすには、どうしても最低限、上向きのベクトルが必要で、それがないと離陸できないと思います。 

 

– なるほど。今日は貴重なお話をありがとうございました。